「逆向き」にも考えてみよう。
デキる人の多くは「その人に向いた仕事」をしています。
例えばバラエティ番組の有名プロデューサーとお酒を飲んだ時です。彼は頼まれてもいないのに、笑い話やタレントの裏話を始めて皆を楽しませようとするのです。
きっと彼は、楽しませることが好きなんです。しかも人間は、興味があることは記憶するし、工夫もします。彼は子供のころから自然と人を笑わせる話し方を身に着け、今もつい、面白いことがあるとネタとして記憶してしまう。だから面白いのでしょう。
バラエティ番組を見るなら、どんな人がつくった番組がいいですか? 私は彼みたいな人がいいですね!
ほかにも、元うちの学生で商社に就職してエネルギーの輸入に携わっている人がいます。彼は学生時代から交渉が巧みで、飲み会の幹事をやると「お店の人にうまく気に入られて料理を一品増やしてもらいました!」と報告してくるような人でした。
外国から石油や天然ガスを輸入する仕事に、こんな人が携わっていてくれたら頼もしいですよね!
一度、逆向きに考えてほしいんです。「自分が何に向いてるか」じゃなく……その職業、どんな人がやっていたらうれしいですか?
広告代理店なら、クラスで何かをはやらせちゃう人や、仲間でイベントをやっちゃう人とか、何か美しいビジュアルを作れる人ですよね。
先生なら、面倒見がいい人。知識欲がある人とか。
銀行員なら、お金の勘定に正確で、簡単にはお金を貸さないけど、一度事業資金を貸したら借り主をしっかりサポートして回収するような人でしょうか。
自分側の「なりたい」という思いは、意外と適職とマッチしてないことがあるんです。子供の頃の憧れにこだわっていたり、親の望みに縛られていたりして、目が曇っていることがあるんです。
なりたい職業≒向いている職業
だから、就活イベントや資料で「この会社、面白そうかも」と思ったら、逆からも考えてみてほしいんですね。すると「俺、私、これに向いてる」と強く気づけたり、逆に「いや、向いてないかも」と気づけることがあるんです。
「逆向きに考える」と志望動機が見つかりますよ。
仮にあなたが食品メーカーに興味があるとします。では食品メーカーにどんな人が勤めていてくれたらうれしいですか?
例えば「何よりも食べることに興味がある人」「料理が得意な人」「栄養学にも詳しい人」「世界中の食文化に精通した人」「衛生観念の高い人」といったところでしょうか。
次に、あなたの日常を振り返ってみてください。
「“このお店はおいしい”と聞くと、行列してでも食べに行って“これは焦がし醤油を隠し味にしてる”とか考えて家で作ってみます。たまに完全コピーできますよ」
「ラーメンが好きで、今はどんな味が流行っていて、今後どんな味が人気になるか、なんとなく想像できるんです」
「家族で旅行すると“食べることばかり考えている”と文句を言われます。でも、名古屋に行ったら味噌カツとあんかけスパとひつまぶしとスガキヤのラーメン、全部食べたいじゃないですか。僕にとって食べ物との一期一会が最高のエンタテインメントなんですよね」
あれ? 上の文章、そっくりそのまま、食品メーカーや飲食業の志望動機になってるじゃないですか!
コツは、逆向きに考える時、自分の具体的なエピソードも考えることです。
小さなことでいいんです。「誰かと会う時、ちょくちょくお土産を仕込んでいく」就活生がいました。私も「先生、疲れるでしょ?」とチョコをもらったことがあります。営業に向いてそうですよね!
私は「就活生に話したい」と思うことがあったらすぐスマホにメモします。スマホには膨大なメモがあります。就活の先生に向いてそうじゃないですか?
こうして職業を探していけば外れはありませんよ。
■練習
・自分が「なりたい職業」(例・広告代理店の人、先生など)をあげ、逆に「どんな人がその職に就いていたらうれしいか」を考えてみよう。